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東京五輪延期 日本経済への直接的・間接的損失は?
        
2020-03-26 13:15 | 人民網日本語版

国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は24日に共同声明を発表し、東京で行われる予定の第32回オリンピック競技大会を1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催するとした。大会の名称は延期後も「東京2020」のままで変更しないという。第一財経網が伝えた。

実業家の李陵氏は東京五輪延期のニュースに接して、「600万元(1元は約15.7円)分の注文を失った」と嘆いた。

李氏は中国で最も早くスポーツ産業に参入したパイオニアの一人として、タイガー・ウッズの初訪中を実現させ、サッカー中国代表の監督を務めたボラ・ミルティノビッチ氏のビジネス展開を手がけ、紅牛をNBA初の中国ビジネス協力パートナーにすることに成功した。

李氏は昨年、再び世間に姿を現した。五輪イヤーの到来により、中国内外にたくさんの資源をもつ李氏はスポーツビジネスで2回目のピークを迎えるはずだった。新型コロナウイルスによる肺炎で前進の足取りがかき乱されるなど、まったく想像もしなかった。

スポーツマーケティングの専門家である朱小明氏は、「東京五輪は高度に市場化した運営がなされており、延期により巨額の損失が生じることは間違いない」との見方を示した。

直接的な経済損失は約60億ドル

李氏が今回失った600万元分の注文は、東京五輪の中国スポンサー企業によるものだ。現在、企業の中には五輪関連のマーケティングを一時停止したところもあり、この影響が関連する産業チェーンのあらゆる企業に及ぶことになる。

これまでの五輪の経験を踏まえると、開幕まで3-4ヶ月の頃には、スポンサー企業はマーケティングの激しい戦いを繰り広げるものだが、今は関連企業の情報はあまり聞こえてこない。李氏は、「今は多くの企業が様子見をしているだけでなく、さまざまな対応プランを積極的に模索している」と話した。

実際、他のイベントと同様、五輪も放映権の販売、スポンサー料、チケットの売り上げを主な収入源とする。

東京五輪のスポンサーには4種類ある。最高ランクはIOCのワールドワイドオリンピックパートナーで、コカコーラ、阿里巴巴(アリババ)、アトス、ブリジストン、ダウ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、インテル、パナソニック、トヨタなどのグローバル企業13社が並ぶ。その下には東京2020オリンピック国内スポンサーがあり、ゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターの3種類がある。

複数のメディアが、東京五輪延期による直接的な経済損失は約60億ドル(1ドルは約111.3円)に達すると予想する。朱氏は、「五輪の中止または延期が損失であることははっきりしており、スポンサーに与える大きな損失には中止・延期によって生じるマーケティングや広告のコストもある」との見方を示した。

五輪効果で経済の飛躍的発展のために 日本の投資は巨額

日本・東京のスポーツ関連企業の責任者は、「日本は東京五輪に向けて細やかで踏み込んだ取り組みをさまざまに進めてきた。たとえばタクシーの車内空間を広く改造するなどだ。ある角度からみると、人々の東京五輪に寄せる期待は大きく、これは1964年の東京五輪の時と同じで、五輪が大きな変化をもたらすことを願っている」と話した。

東京五輪が行われた1964年は近代の日本にとって極めて重要な飛躍の年であり、日本はこれを契機に空港、高速道路、新幹線など一連の大型インフラの建設を行い、都市の近代化を実現した。

朱氏は、「日本は今回も同じように五輪効果で経済の飛躍的発展を願っている」と指摘した。

人口高齢化が足を引っぱり、日本経済は下降トレンドの中にある。日本の内閣府が発表したデータによれば、19年第4四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で6.3%の減少となり、予想を大幅に上回り、14年第3四半期以来の最低を更新した。

しかし東京五輪のために、日本は巨額の投資を行った。日本の会計検査院が19年12月に発表したデータをみると、日本政府は五輪のために1兆600億元を投入し、東京都が1兆4100億円、東京五輪組織委員会は6千億円を投じ、日本は五輪のために総額3兆元以上を投入した。

東京都は東京五輪・パラリンピックがもたらす経済効果を試算した。

それによると、招致に成功した13年9月から五輪開催10年後の30年9月までの約17年間に、日本全体への経済効果は32兆円前後に達し、日本の年平均GDPを9千億円前後押し上げる。東京都は雇用については、東京都で約130万人分、東京以外では約64万人分の雇用が生まれると試算する。総合的にみて、日本政府は五輪によって投資の10倍以上のリターンを得ると確信している。

朱氏は、「日本はこれまでインフラ建設に多額の投資を行っており、五輪の各方面の利害関係者は大きな損失を被ることになる」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年3月25日

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