中国
杭州の動物園、顔認証システムの導入で訴えられる
        
2019-11-05 17:51 | チャイナネット

 

  顔認証の使用を拒否したため、浙江理工大学の郭兵・客員準教授が消費者として、杭州野生動物世界を相手取り訴訟を起こした。顔認証の類似するケースの訴訟は国内初。北京青年報の調べによると、杭州市富陽区人民法院(裁判所)は本件を正式に受理した。

  起訴状によると、郭氏は2019年4月27日に杭州野生動物世界の年間パスポートを購入し、1360元を支払った。被告はこの年間パスポートを発行する際に、有効期間の1年内(2019年4月27日から2020年4月26日まで)に年間パスポートと指紋の同時認証により入園し、同年度内に無制限で入園できると明確に承諾していた。

  ところが杭州野生動物世界は10月7日、郭氏と何ら相談せず同意を得ぬまま、ショートメールにより原告に「年間パスポートシステムが顔認証入園にアップグレードされ、従来の指紋認証が取り消された。顔認証の登録を済ませていないユーザーは正常に入園できない」と伝えた。

  郭氏は、アップグレード後の年間パスポートシステムは顔認証を行い、郭氏の顔の特徴といった個人の生物認証情報を集めるが、この個人的で敏感な情報が漏洩し違法に提供もしくは乱用された場合、原告を含む消費者の人身及び財産の安全が損なわれやすいとしている。「消費者権益保護法」第29条の規定によると、動物園による原告の個人情報の収集と使用は、合法・正当・必要の原則に従い、情報収集・使用の目的・手段・範囲を明示し、原告から同意を得る必要がある。しかも被告による原告の個人情報の収集・使用は、その収集・使用規則を公開しなければならない。法律・法規・規定、及び双方の情報収集・使用の約束に違反してはならない。

  郭氏は、被告が原告の同意を得ぬまま年間パスポートシステムのアップグレードにより、原告個人の生物認証情報を強制的に収集することは、関連規定に大きく違反しており、原告の合法的な権益を損ねたとしている。

  記者の調べによると、郭氏は2019年10月28日に、杭州市富陽区人民法院で訴訟を起こした。同裁判所はすでに本件を正式に受理している。

  北京大学法学院の薛軍副院長は記者に、「顔認証、遺伝子、虹彩、指紋、掌紋、声、歩く姿勢といった個人の生物情報は非常に敏感だ。これは終生変わらぬものであり、漏洩すれば救済がほぼ不可能だからだ」と述べた。

  返金については、公平の原則に従うと契約解除の過失は動物園側にある。そのため動物園は有効期間内の割合に基づき、返金の金額を算出するべきだという。

  「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年11月4日

0